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世界に共有したい日本発の食のリスト「EARTH FOODS 25」発表!

No.5

2024.3.01

食の未来をより良くするため 世界に共有したい日本発の食のリスト「EARTH FOODS 25」決定

「EARTH FOODS 25」とは、日本が培った食材、食品、食の知恵・技術の中から25を選定し、その価値を国内外に発信することで、地球の食の未来をより良くするためのアイデアを共有するためのリストです。

日本の食文化は、「地球との共生」と「食の知恵・技術」の集積です。豊かな海洋国家(海の面積は世界第6位)として、昔から受け継がれてきた「海藻文化」と「発酵文化」があり、そこには多くの知恵や技術の集積があり、菜食・発酵・健康が結びついた食の自然観をもっています。この日本がもつ食の価値・本質を再定義し、世界に共有することで、食文化発展や環境問題解決への貢献につながることを目指しています。

▼EARTH FOODS 25

1. 米粉
2. 餅
3. 豆乳
4. 高野豆腐
5. あんこ
6. 大根
7. わさび
8. 山椒
9. かんぴょう
10. こんにゃく
11. 抹茶
12. 香酸かんきつ(ゆず、橙、かぼす、すだち)
13. 梅干し
14. 椎茸・干し椎茸
15. 昆布
16. わかめ
17. 海苔
18. 寒天
19. ふぐ
20. すり身
21. 鰹節
22. 麹・種麹
23. 日本酒・本みりん
24. しょうゆ・みそ
25. 野菜の漬物

▼EARTH FOODS選定における「10の視点」

栄養的な視点 : 栄養価が高い、健康に必要な栄養素が含まれている
環境配慮の視点: 地球環境に悪影響を与えない、良い影響を与える
持続性の視点 : 安定供給できる、未利用食材を有効活用でできる
多様性の視点 : 食べる人を選ばない、多様な料理に使用できる
倫理的な視点 : ヒトや動物等の身体的・心理状態への配慮(アニマルウェルフェア、フェアトレードなど)
経済的な視点 : 比較的入手しやすい、コスト負担が少ない
嗜好的な視点 : 食べておいしい、料理をおいしくする
文化的な視点 : 日本の歴史、伝統、食文化に根差している
汎用性の視点 : 食べ方にバリエーションがあり、料理に使いやすくアレンジしやすい
情緒的な視点 : 食べる人の気持ちを豊かにする

▼EARTH FOODS 検討委員会のご紹介

「EARTH FOODS検討委員会」として、食業界の第一線で活躍されている有識者の皆様をアドバイザリーボードとして迎え、選定についての協議・検討を重ねてまいりました。

EARTH FOODS検討委員会メンバー

(以下敬称略)
小泉 武夫(農学博士、東京農業大学名誉教授)
村田 吉弘(菊乃井 三代目主人)
門上 武司(フードコラムニスト、「あまから手帖」編集顧問)
辻 芳樹(辻調理師専門学校校長、辻調グループ代表)
外村 仁(Food Tech Studio - Bites!ファウンダー、元Apple マーケティング本部長)
野村 友里(eatrip 主宰/料理人)
石川 伸一(宮城大学食産業学群 教授「EARTH MART」アドバイザー)
大屋 洋子(食生活ラボ 顧問・研究主幹)
小山 薫堂(大阪・関西万博テーマ事業「EARTH MART」総合プロデューサー)

▼「EARTH FOODS 25」選定理由と伝えたい想い

1 米粉 (農産物、米、加工品)

日本の主食である米は、稲作という自然とともに生きる文化を育んできた。エネルギー源となる炭水化物が多く含まれている。米を細かく砕いて粉状にした「米粉」は、小麦粉の代用としてもグルテンフリーの食材としても注目され、新たな使い方・食べ方が広がっている。

2 餅 (農産物、米、加工品)

お正月に床の間に飾る鏡餅など、かつては神が宿る存在として敬われる特別な食べものだった。塩味系で食事としても甘味系でスイーツとしても食することができ、干し餅や乾燥餅など保存食としても親しまれてきた。また、「餅粉」はもちアイスから派生し、スイーツ以外にも多様に使われるなど特にアメリカで浸透している。

3 豆乳 (農産物、豆類、加工品)

大豆からつくられる植物性ミルクの豆乳は、環境負荷を抑える選択肢として注目が集まっている。熱を加えることで湯葉を、にがりを加えることで豆腐をつくることができる一方、今では様々な料理や栄養補給食などに活用。高タンパク低カロリーでコレステロール低下作用があるとされるため健康飲料としても利用されている。

4 高野豆腐 (農産物、豆類、加工品)

「凍り豆腐」とも言われ、豆腐を凍らせたあとに低温熟成し、乾燥させた保存食品。加工食品をさらに保存食品にするという伝統の知恵。乾燥しているため軽く、常温で長く保存が可能。もともと精進料理の肉の代替とされてきたことから、代替肉・代替たんぱく食品としても注目され、水分を含み膨らむので満腹感が得られる。

5 あんこ (農産物、豆類、加工品)

小豆を煮詰めて練ったペースト状のもの。中国伝来の肉類のあんが、日本において豆類を使ったものに変わり、新しい食べ方が生みだされた。小豆にはポリフェノールを筆頭に健康・美容につながる栄養素が豊富。和菓子においては色と形で日本の四季を表現する職人技術の土台となる一方、さらに洋風の料理やスイーツにも広がる可能性を秘めている。

6 大根 (農産物、野菜類)

「おおね」という文字通り日本を代表する野菜で、一年を通して食べられ、風土によって多種多様。生、おろし、煮る、焼く、蒸すなど食し方も多様で、身はもちろん皮も葉も茎も捨てるところがない。グルタミン酸が豊富でいい出汁を出す。干す(切干大根)、発酵(沢庵)することで保存性の高い食材・食品にもなる。

7 わさび (農産物、野菜類)

日本固有の植物で、渓流などで育てられる水わさびと畑で育てられる畑わさびの二種類の栽培方法がある。食材の生臭みや細菌の増殖を抑えることと、独特の風味から、寿司の薬味として使われ江戸時代にブームに。海外では、日本のわさび栽培の成功例も増え、日本料理以外での有効活用として様々なアレンジ食品が生まれている。

8 山椒 (農産物、野菜類)

香り・辛さ・しびれが特徴のミカン科の植物。春先の若葉は「木の芽」、初夏の実は「青山椒」、完熟したら「実山椒」、秋には「粉山椒」がある。日本の森を象徴する香りを放ち、減塩を可能にするスパイスで、近年欧米諸国で人気が高まっている。山菜自体、海外では食べる習慣が少なく、未利用資源の有効利用にもつながる。

9 かんぴょう (農産物、野菜類、加工品)

ユウガオの果肉を薄く細長くむいて乾燥させた食品。栄養成分で最も注目すべきは食物繊維の含有量で、まさに乾物のスーパーフード。巻き寿司の具として使われるが、味にクセがないので和洋中何でも使え、出汁にもなれば具材にもなる。独特の食感が好まれ、ヴィーガン料理にも取り入れやすい。

10 こんにゃく (農産物、いも類、加工品)

こんにゃく芋から作られプルプルした触感が特徴。97%が水分で低カロリー・低糖質、豊富な食物繊維が胃腸を整えるなどポテンシャルがある。美容や健康に特化した創作こんにゃく食品や、グルテンフリーの麺として「しらたき」も注目。従来のウェット系だけなく、運搬性や保存性からドライ系の市場が拡大している。

11 抹茶 (農産物、茶類、加工品)

日本では茶の湯文化として欠かせない一方、海外ではスーパーフードとしてMatchaがトレンドになっている。若い茶葉を粉末化し、抽出液ではなく茶葉そのものを飲むため、煎茶よりも多くの栄養成分を摂取できる。コーヒーよりもカフェインが少なくヘルシー。抹茶ラテ、抹茶スイーツの他、様々な抹茶料理が広がっている。

12 香酸かんきつ(ゆず、橙、かぼす、すだち) (農産物、果実類)

果肉を食べず果汁の酸味や果皮の香りを楽しむ「香酸かんきつ」が日本には数多くあり、料理を際立たせてくれる名脇役。ゆずは香りが強くハーブのような感覚から世界的に定着しつつある。他に、橙やかぼず、すだちなどが代表的。香酸かんきつは、昔から変質しやすい動物性たんぱくの食中毒を予防し、保存性を高める役目を果たしてきた。

13 梅干し (農産物、果実類、加工品)

梅の実としそと塩だけでできた、日本の食文化に欠かせない保存食。古くから薬としても用いられ、梅干しに含まれる成分が疲労回復や消化促進など健康効果があるとされている。海外では日本の酸っぱい食べ物として知られ敬遠されてきたが、最近ではヴィーガンフードとして評価を高めている。

14 椎茸・干し椎茸 (農産物、きのこ類)

今や世界中で栽培されている中国と日本生まれの食用きのこ。ぷりっと肉厚で、焼く、煮るなど多様な食べ方ができ、和食にも洋食にも活躍。干すことで保存がきき、うま味の素にもなる。生と干しを比べると、干しの方が食物繊維は約2倍、ビタミンDは約10倍。干し椎茸、椎茸粉は、日本発のうま味ブースターとして海外でも注目されている。

15 昆布 (水産物、海藻類)

グルタミン酸を貯蔵しているのは昆布だけと言われる、和食のうま味(出汁)の素となる奇跡の海藻。北海道が生産の9割を占め、大阪が発展に寄与した。出汁をとるだけでなく、そのものを食べたり、料理、おやつなど幅広く活用。繊細な和のうま味がトレンドになっている世界的潮流の中でますます需要は高まっている。

16 わかめ  (水産物、海藻類)

海の恵みのミネラルや食物繊維など体に必要な栄養分が豊富で、日本最古のアンチエイジング食材と言われる。塩蔵や乾燥することで長期保存が可能。汁もの、サラダ、和え物、酢の物、煮物、炒め物、スープなど用途は多種多様。船により世界各地に拡散・繁殖し、外来生物として問題になっているが、徐々に食べられ始めている。

17 海苔 (水産物、海藻類、加工品)

海藻を四角く薄い紙状に成形したもの。海藻のなかでも特にたんぱく質が豊富で、乾燥すると約4割にものぼる。おにぎりや寿司に限らず、スープやサラダ、パスタなど西洋的な食事にも活用でき、トッピングするだけで栄養バランスが向上。ベジタリアンが根付いている欧米諸国でも注目の食材となっている。

18 寒天 (水産物、海藻類、加工品)

テングサなどの海藻を煮出してつくる「ところてん」を凍結・乾燥させた、古来からのフリーズドライ。ノンカロリーで食物繊維を多く含むことから健康機能性が注目されている。固まる力(凝固性)は羊羹やアイスクリームに活用され、現代では代替肉の原料に加えることで食物繊維により肉の食感や肉汁感が表現できるなど役立っている。

19 ふぐ (水産物、魚類)

毒魚をおいしく食べるという、先人たちが作り上げた日本の食文化の最高傑作。その頂点と言われるとらふぐの約6割は大阪で消費されている。低脂肪、高たんぱくで、養殖もしやすく、将来食糧難に陥った際のたんぱく源としても注目されている。世界中に生息するが、ほとんどの国で未利用魚とされていることから、ふぐ食文化の国際化が期待される。

20 すり身 (水産物、魚類、加工品)

魚の身をすり潰して加工・成形した練りもの。蒸すと「かまぼこ」、茹でると「はんぺん」、焼くと「ちくわ」、揚げると「さつま揚げ」と変化する。主にスケソウダラが使われるが、他に未利用魚や余剰在庫の魚なども活用。「カニカマ」は蟹アレルギーの人も食べられる代替食品であり、イミテーション(模倣品)を超越したおいしい食品として世界に浸透した。

21 鰹節  (水産物、魚類、発酵食品)

うま味(出汁)の素として重要な食材であり、燻製やカビを付けて熟成させるといった独特の製法による保存食。製造工程で捨てる部分はほとんどなく、栄養素が凝縮されている。魚を同じく加工したものを節類といい、魚以外で鹿節などがある。海外での輸入の規制が厳しいため、近年現地に鰹節工場を作るケースもある。

22 麹・種麹 (菌類、発酵食品)

日本特有のカビの一種「麹菌」を使って醸造発酵物をつくっているのは日本のみで、高度なバイオテクノロジーが多種多様な発酵食品文化を支えている。欧米のガストロノミーレストランが麹を積極的に使ったり、麹菌の胞子を粉末にした種麹は海外においてその土地の食材で応用できるなど、未来への可能性が期待される。

23 日本酒・本みりん (農産物、米、発酵食品)

日本酒は、米と米麹と水を原料に発酵させたもの。糖化とアルコール発酵、2つの化学反応を同時に行う並行複発酵という高度な醸造方法でできあがる。日本の料理をつくるうえで重要な調味料でもある。本みりんは、餅米、米麹、焼酎を原料にもろみを仕込み、糖化・熟成させた調味料で、砂糖を使わず甘味をつけることができる。

24 しょうゆ・みそ (農産物、豆など、発酵食品)

起源は古代中国の醤(ジャン)であるとされ、どちらも日本で独自に発展した大豆を用いた発酵調味料。原材料の大豆を上回るうま味成分であるグルタミン酸が含まれている。しょうゆは個性が様々、みそは地域色が豊か。近年はパウダー、ペーパー、ムースなど形態も増え、料理との相性が多様化し海外での活用も広がっている。

25 野菜の漬物 (農産物、野菜類、発酵食品)

日本は種類が豊富な漬物大国。塩、醤油、味噌、酢、麹、米ぬか、酒粕などに漬け込むことで豊かな風味と保存性を高める。保存と共に発酵が進み、発酵のうま味と良質な乳酸菌を取り入れることができたり、乳酸菌と野菜を共に摂取することにより健康効果が上がるなどシンバイオティクス食品として見直されている。香りの強い漬物を口にして嗅覚をリセットする役割もある。

【補足:海藻類(15~18)に関して】

海藻類は二酸化炭素を吸収する優秀な海洋植物として、国連環境計画(UNEP)の2009年の報告書で「ブルーカーボン」と命名され、世界的に注目された。海外ではこれまで、「シーウィード(海の雑草)」と呼んでいたが、近年、「シーベジタブル(海の野菜)」として積極的に摂取しはじめている。日本の海域には1500種類もの海藻があり、海藻の多様な食べ方や調理法、アイデアが蓄積されており、海藻の活用によるより持続可能な未来を築くための一翼を日本が担っている。

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